私が詰将棋にのめりこんだきっかけ
とても久しぶり(およそ半年ぶり)の更新です。相変わらず海外から更新しています。
突然ですが今日は自分語りの時間に入ります。

将棋を覚えて始めたのは小学校1,2年の時だったような気がします。
誕生日プレゼントか何かでもらった「《1・3・5手》こども詰将棋入門 詰めの手筋がばっちりわかる!(中原誠監修)」を
ずっと読み続けていました。
当時はルール覚えたてで、3手詰どころか1手詰もままならず、全く解かずに答えを丸暗記していた
(というか、駒の動きを追うのがやっとだった)記憶があります。

最初にすごいな、と思ったのはこの作品でしょうか。今でも記憶に残っています。

(古典)
古典_5手詰

23銀打、13玉、12銀成!、同玉、23金まで5手詰。

筋の悪そうな23銀が初手、12銀成に24玉は25金で詰むという、銀の足の長さ。
詰将棋って面白い、と感じた瞬間でした。

小学校6年の時に当時の近代将棋が主催していた「すくすく王将杯」なるものに参加したことも覚えています。
参加賞で近代将棋のバックナンバーをもらったのですが、詰将棋を作るという人がいること、
それを発表する場があることをこのときに初めて知りました。
このころは指将棋の方に夢中で、詰将棋は終盤の棋力アップのために解くものだと思っていましたので、
載っていた複雑な作品にはそれほど感動せず(!)「こんな世界もあるんだなあ」ということを認知するのみでした。

それ以降はエセ詰将棋(詰むだけの将棋)はいくつか作っていたのですが、人に少し見せる程度のもので、
入選級には程遠い。もともと面倒臭がり屋なので、変化を読まなくていいような一桁ものばかり。ほとんど余詰。

時は経って中学2年の時。怪我で入院中あまりにもやることがなく、
買ってもらった将棋世界をずっと読んでいた時に転機は訪れました。

妻木貴雄氏作(将棋世界2003年11月)
妻木貴雄(サロン2003_11)

38金、同玉、48飛、27玉、49馬、36玉、37香、25玉、16馬!、同と、45飛!、同角、17桂!、同と、26金まで15手詰。

こんな世界があったなんて!衝撃を受けて何度病床のマグネット将棋盤で並べ直したことでしょう。この年の佳作に選ばれているようです。
無駄な駒が一切ない。全ての駒が主役に近い働きをしているのです。それまで見てきた作品とは雲泥の差でした。

この作品に非常に感動し、自分も何か作りたいと詰将棋に没頭。
いじっているうちに偶然作れてしまった作品が、私の初入選作となりました。
こんなところに載せるほどよくできた作品ではないのですが。

自作(将棋世界2004年5月)
自作(将棋世界15手)

35角、24桂合、23金、14玉、24金、15玉、27桂、同歩不成、25金、16玉、15金、同玉、16歩、14玉、26桂まで15手詰。

浦野先生から直筆でお手紙をいただいたときに飛び上がって喜んだのを覚えています(11香を当時配置して
投稿していたのですが、不要駒ではないかという指摘をいただいただけだった)。

このときには全く気付かなかったのですが、周りの、他7人の作者の豪華なこと。
上田吉一、若島正、小林敏樹、斎藤夏雄氏らと一緒の号で入選させてもらえるなんて、何という幸運だったのでしょう。
ちなみにですが、この月の優秀作、本田勇氏作はすごい作品です。

本田勇氏作(将棋世界2004年5月)
本田勇(サロン2004_5)

82香、71玉、63桂!、同金、53角成!、同飛、83桂、同銀、81飛、72玉、64桂、同銀、61飛成、同玉、62金まで15手詰。

これで図面あっていたかな?バックナンバーが手元にある方、ご確認いただけると幸いです。
今気付いたんですが、この作品、53角成に62歩合は83桂、同銀、81香成、同玉、63馬以下なんですね。
捨て駒の順番が絶妙です。

それ以降、将棋道場に通うたびに将棋世界のバックナンバーを漁って詰将棋サロンを閲覧するようになります。
このときも解くよりも鑑賞優先で、ほとんど自力で解いた記憶はありません。
そんな時に出会ったこの作品も、強烈に印象に残りました。twitterでも絶賛されている下の作品。

奥川隆氏作(将棋世界2004年2月)
奥川隆(サロン2004_2)

13銀!、同玉、24銀!、同歩、31角成、22桂合、24馬、12玉、13歩、同桂、34馬、同桂、24桂、23玉、32馬まで15手詰。

『完璧な完成度を誇る実戦形の傑作。誰もが思わず立ち止まって見入ってしまう美しい初形ながら、
手順は実に詰将棋らしい。』(ssさんのtwitterより引用)

序の4手、動く22桂合、パラっとした実戦型からは信じられない内容。

ちょうどこの号に浦野先生の文章が載っていて、そこで紹介されていたのがかの有名な「盤上のファンタジア」。
感動を越えた作品があまりにも多く、当時は理解が追い付かず。
あまりにもすごい作品が多すぎるのでここでは割愛しますが、
この本の中に詰将棋パラダイスの作品があまりにも頻繁に出てくる。
当時通っていた将棋道場でも詰パラは何度か手にしていたものの、あまりにも悪形作が多いのと
マニアックで理解できないことから、ほとんど読んでいませんでした。

あるときふと気になって詰将棋パラダイスのホームページをふと覗いてみました
(いろんなコンテンツがある中で、なぜか「王の行進」から読み始めた私は
「何とマニアックなページだ」とびっくりしていました)。

読み進めていく中できれいな作品に出会う。解いてみようと思ったのに全く歯が立たない。

山岸栄一氏作(近代将棋、年代不明)9手詰
山岸栄一氏作(近代将棋)
(詰将棋パラダイスのホームページより)http://www005.upp.so-net.ne.jp/tsumepara/contents/4appre/appre/appre05.htm

13角!、33玉、53飛!、44玉、55銀、53玉、35角成、43玉、44馬まで9手詰。

3日くらい考えて分からなくて、ついに正解を読んだ時の衝撃!今でも決して忘れられない作品の一つ。
43飛では詰まず、53飛で詰むというメカニズムは最初理解できませんでした。

このとき、ホームページの表紙は常に作品募集中だということを知る。
自分も作品をのせたい!と思って必死で作ってみたのがこの作品
(とはいえ、何度も余詰で須藤さんに指導いただいた結果の作品ですが)。

自作(2005年12月詰将棋パラダイスHP)
自作(パラサイト表紙)

32角、24玉、35銀、25玉、16銀、36玉、14角成、35玉、25馬まで9手詰。

良く見ると上の山岸作を90度回転させて作っただけなのですが(並べるとバレバレですね)、
当時の私にはこれが精一杯。ともあれ、予想以上の高評価をいただいて鼻が高くなりました。

だんだん投稿してみたい作品が増えてきて、翌年から詰パラ購読開始。
それから毎年、少しずついろいろなジャンルにも手を出すようになりました。

最近は構想作も鑑賞するようになりました(自分では今でも構想作と言えるようなものは作れませんが…)
が、最初に味わった感動(23銀~12銀成の味とか)を忘れてはいけないと思うのです。
料理に例えて言うならば、高級和食やイタリアンを知っていても、ラーメンや牛丼を美味しく食べるのと一緒。
まずいと思って牛丼を食べていたら、世の中楽しくない。
私は今でも詰パラの保育園や幼稚園にも目を通すようにしていますし、
シンプルでもお気に入りの作品を見つけた瞬間は、それが既成手順であっても、とても幸せです。
ついつい料理と詰将棋を重ねて考えてしまうので、このブログの名前もかえてしまったという次第。
どんな作品でも、敬意を持ってじっくりと味わえるようになりたいという意図です。


ああ、まとまらない…とりあえずこのくらいで今日は終わりにしておきます。


※まとまった時間とまとまったやる気が取れずに長いこと放置していました。お詫び申し上げます。
書きたい記事はいろいろあって、石本仰氏作(初手76飛!の27手詰)や伊田勇一氏作(パラ2000年11月号半期賞の29手詰)、
今村修氏作(ゴゴノソラ651手)、田島秀男氏作(まだら)、般若一族作(馬賊戦記)あたりに目をつけているのですが、
果たしていつ書くことができるやら。


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※あまりにも陳腐な名称なので漢字を少しかえてみました。懐石料理のようにじっくりと詰将棋を味わう意味も込めて。

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