![]() 実に2カ月近くもブログを放置していたようです。
素材が特になかったのと、考える時間がなかったのと… 時間がないのは言い訳ですが。 どこかでやっているかもしれない昨年度のベスト詰将棋ですが、 私は将棋世界やネットの全てに目を通しているわけではないので そんな大層なタイトルで記事を書けるわけではありません。 昨年度に限って言えば、パラにしても帰国した10月にざくっと見たにすぎないので、 特に難しい作品はしゃぶりつくせていません (もともと、長手数作品は理解できないことが多いですが)。 ということで、これからちょっとづつ感想を書いてみる作品も、 自力で解いたものはほとんどない。 今年は評点が全体的に高く、看寿賞の選考などを見ても 自分が推したい作品が出てこない可能性が充分にあります。 そうなると、お気に入りの作品を掘り起こせなくなってしまいそうなので…。 何としてでも、名作だと感じたものを後世に残していく努力はしたい。 (ちょっと関係ないですが、個人的には、ある程度評点が高かったら、そこから上 ―例えば2.7か2.8か、とか―で争うのは、作品の本質と関連が薄いと感じます) というわけで、自分で後で見返すことができるようにするためにも、 個人的に気に入った!という作品をリストアップしていきます。順不同です。 いつものように解析できないのが残念ですが、鑑賞するだけで 見事な作品であることを感じたもの(※個人的に)ばかりなので、忘れかけていた方も是非。 なお、上でもちらっと書きましたが、看寿賞候補の予想とは無関係です。 ※作者の方、勝手に図面掲載してしまっています。不都合があればご連絡ください。 いつでも削除いたしますので。 深和敬斗氏作(2013年1月、デパート) ![]() 24桂、同銀、22歩成、13玉、25桂、同銀左、15香、同銀、14歩、同銀、12と、同玉、 13歩、同玉、22銀、12玉、24桂、同銀、13歩、同銀、11銀成まで21手。 数年前の馬場光信氏の将棋世界の作品(だったと思うのですが…)が 似たような作品で、25と15の銀を桂香を打って翻弄するものだったように 記憶しています。本作はそれをさらに発展させた作品。 44角によって緩く縛った33馬でやりたいことを実現できています。こんな作品が作りたい。 田島秀男氏作(2013年4月、解答選手権チャンピオン戦) ![]() 68香、同金、58桂、同金左、78桂、同金、69香、同金左、68香、同金右、 58桂、同金、67香、同飛成、78桂、同龍、56龍まで17手詰 以前記事にして取り上げたのですが、脱帽です。 限界を示した詰将棋の一つと思います。 しかしこのような構図を如何にしてこの作者は見つけるのでしょうか。 三輪勝昭氏作(2013年4月、高校) ![]() 22銀、同玉、11銀生、23玉、33歩成、同玉、32銀成、同玉、24桂、同龍、 22銀成、同龍、41龍、同玉、23馬、同龍、31金まで17手。 パラを見返していて、何と三輪さん作の多いこと! 個人的には本作が抜きん出てすばらしい作品と感じました。 手筋ものといえばそうなのですが、味が抜群にいい。 33歩成や24桂といった捨て駒はどのようにして出てくるのでしょうか。 飯尾晃氏作(2013年5月、高校) ![]() 56銀、36玉、45銀、同玉、56角、36玉、47角、45玉、36角、34玉、 45角、25玉、36龍、同歩、34角、同玉、35金まで17手。 同じ作者の6月号デパートにも同じ香りを感じます。 角のダンス、最後まで緩むことない手順。 駒数が多くて評点で損をしたと思われますが、 この素材をこの形にしてまで67銀消去を序に設けたことや、 角の動きを最大限に強調しているところなど、 作者の作品の仕上げ方のうまさを感じさせます。 武島宏明氏作(2013年7月、高校) ![]() 51角、同銀、53飛成、43金合、25桂、24玉、46角、14玉、 34龍、同金、23龍、同玉、13角成まで13手。 あまりにもきれいで作者ご本人のブログにコメントを残してしまった…。 この作者、作品の質×量がすごい。 いったいどうやって時間を取っているのでしょうか。 若島正氏作(2013年7月、短大) ![]() 44桂、61玉、41飛、51飛合、同飛成、同玉、53飛、41玉、52飛成、31玉、 51龍、41桂合、32桂成、同玉、22金、33玉、55角、同桂、 34歩、43玉、53歩成、同桂、65角、同桂、54龍まで21手。 不利合駒ですが、成香の代わりに龍を作らせて、斜め後ろに利きを作らせて 打歩詰に誘導する構想。つまり、成駒での飛先飛香。でもそんなことより、 可能な限りの最短手数で合駒~打歩詰の局面をつなげたこと、収束のきれいなこと! 北浜健介氏作(2013年8月、パラ特別懸賞) ![]() 43桂成、同角、33香、22玉、32香成、同玉、34香、同角、21銀生、23玉、 35桂、同金、12銀生、32玉、23銀成、同角、33香、22玉、11龍、同玉、 32香成、12玉、22角成まで23手。 この月の北浜先生の懸賞問題は2題とも自力で解きました。 どちらも素晴らしい作品と思いましたが、私はこちらが好みです。 特に、頭8手のきれいさがずっと頭に残りました。 鈴川優希氏作(2013年9月、短大) ![]() 43龍、42飛合、63角、51玉、42龍、同玉、52飛、43玉、54飛成、32玉、 52龍、42飛合、同龍、同玉、52飛、43玉、35桂、34玉、33桂成、同玉、 51角、34玉、24角成、同玉、22飛成、35玉、36角成、同玉、26龍まで29手。 龍が一度消えて、また現れる。配置の悪さは少し気になるかな?というところですが、 きっと収束の付け方、さぞかし苦労されたのでしょう。 一度自分で作ってみたかったテーマ、先取りされました。 宮原航氏作(2013年10月、高校) ![]() 13角、58玉、69金、同龍、57角成、同玉、93角、58玉、 49金、同龍、57角成、同玉、68金まで13手。 発表時には一瞬で解けた記憶があります。 無駄な飾り付けが一切ない。けれど、それがいい。 難しくしないことで美しくなる、そんな芸術的な作品だと思います。 芹田修氏作(2013年11月、デパート) ![]() 27香、同飛生、17桂、同飛生、35飛、26玉、25飛、同玉、27香、同飛生、 43馬、14玉、26桂、同飛生、25馬、同飛、26桂、同飛、15歩、25玉、35金まで21手。 香をたくさん持っているのに、これしか進め方がないゆえの玉方飛生。 以前似たような形で作ろうとして、どこかで飛を成られて 詰まなくなってしまって苦労したのですが、 本作は6段目で成生を決定できることが大きく、絶妙の配置で仕上がっています。 武島宏明氏作(2013年12月、デパート) ![]() 65龍、45歩合、同龍、24玉、34龍、15玉、45龍、24玉、15龍、同玉、 16歩、24玉、34馬まで13手。 最後にもう一作、この作者の作品を。 柳原さんが「何度並べ替えしても飽きない」と短評に書いている通りの作品。 すさまじい作品を連発している作者ですが、こんな作品を投稿されているのを見ると、 詰将棋に対する愛着を感じます。 通常キズなしでこのような作品を作るのはとても難しいと思うのですが、 迂回手順や、有効か無駄かわからないような合駒、変長、すべて排除したのが作者の手腕。 その他 以上、適当に選んだために11作と中途半端な数字になりました。 おまけに、手数がかなりかたまっているのですが、意識しているわけではありません。念のため。 単純に、私のしっかり鑑賞できる範囲がそのくらいということです。。。 ここには書いていないのですが、ネット上で非常に話題になっていた 久保紀貴作「位置エネルギー」(詰将棋パラダイス2013年11月号大学)、 宮原航氏作(詰将棋パラダイス2013年7月号中学)、 相馬慎一作(81puzzlerで出題)などもすばらしい作品と思います (単に、他で非常に盛り上がっていたのでここで取り上げていないだけです)。 ということで、長編も解読して記事を書かなければいけないのですが、 しっかり見ようとすると非常にエネルギーを要するため、(可能であれば)また後日ということで。 ではでは。
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![]() 作品の好みと評価点は必ずしも一致しませんよね。
僕は中編では宮原作で打歩でない原型で龍を金に換える作品(短大)が一番好きだったけど評価点はビックリするほど低くかった。 この記事を読んでいると好みがよく分かります。 僕の二番目の好きなタイプとほぼ同じです。 僕が短中編で好きな作品ベスト10を上げるなら1作も入っていませんが、ベスト10には入れなかったけど文句なしに好きな作品として外せない作品ばかりです。 それから全く蛇足な事ですが、僕の去年の発表作で自分自身が一番好きな作品は同人記念展の「ミ」です。 深和作は印象に残っていなかった。これを選ぶのは、いかにも廣瀬君らしいですね。
三輪さんのベスト10が気になる。 ぜひご自身でブログを立ち上げて、思いっきり語ってもらえるとうれしいのですが。
[2014/04/24 12:03]
URL | YANA #-[ Edit]
こうして見るとやっぱり案外好みは違うものですね。
興味深く読ませて頂きました。 『この詰』でこんな感じの企画をやるかも、ということで今から楽しみです。
[2014/04/24 13:33]
URL | ikz26 #mQop/nM.[ Edit]
お返事遅れてしまってすみません。
三輪さん ミの字、改めて鑑賞しました。いい作品ですね。 曲詰を作ったことがないのでわからないのですが、きっと創作難易度が普通作よりもずっと高いのでしょう。 ただ、それでも僕は高校の作品のほうがすごいと思いました。この辺は作者の思い入れとか、作ったり解いたりした経験とか、によって変わってくるんでしょうね。 ikz26さん ブログでいろいろなことを書いていって、この詰のハードルを上げていきましょう(笑)
[2014/04/30 16:32]
URL | h160se #TT0fzUCU[ Edit]
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詰将棋懐石メモ~h160seの倉庫~ |
※あまりにも陳腐な名称なので漢字を少しかえてみました。懐石料理のようにじっくりと詰将棋を味わう意味も込めて。
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Author:shogisolving160
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