自作倉庫6:11手詰
前回の記事からあまり日が経っていないのですが、そろそろしばらくパソコンに触れなくなるので
先にネタを一つアップしておきます(恐らく、半年近く連絡がつかなくなります)。


短編なのですが、どのくらいの難易度なのでしょうか。
入選級かもしれませんが、今一つ不満が残る出来なので、こちらでアップしておきます。
以前創棋会で見せた時は一瞬で解く人と30分以上考える人と
大きく分かれた様に記憶しているのですが。



解けた方は何分くらいかかったか、目安を教えていただけると嬉しいです。
酷評も大歓迎ですので、よろしくお願いいたします。

========解答(以下をドラッグしてください)========

31角、33玉、42角打、44玉、54金、同龍、33角成、同玉、25桂、24玉、13角成まで11手詰。

54金の一手を成立させたくて作成。
龍が残ったままなのと、3手かかる収束が不満。



[2014/12/20 10:34] | 自作倉庫 | Trackbacks(0) | Comments(3)
詰将棋解析10: フォークランド島(近代将棋1982年10月号_修正図)
無理やり時間を作って、とても久しぶりの更新です。
(この詰の原稿を書いてしばらく満足してしまっていたのがいけなかったのかもしれません、が...)

※前回書いた「香の使い方」の記事、誤字脱字があまりにもひどい。すみません。
そのうちに直しますので、しばらくお待ちください。

今回は、今井光作品に続いて、般若一族の作品を解説しようと思います。

フォークランド島(修正図)


般若一族の作品集が出て、とてもうれしいです(残念ながらインドネシアには持って来ていないので読めないのですが)。
難解な論理で成り立つ作品、いくら解説を読んでも、自分の頭で理解しえない作品が世の中には多くあります。
何度も並べて、論理の組み立てを紙に書いて、ようやく理解できる。同時に、違う視点での解説を書いてみることも大切だと思うのです。

そんなわけで、自分なりに理解できたことをここに示してみようと思います。
説明はかなり簡潔ですので、初見の方は般若一族の叛乱ページの解説(http://hyudo.shiteyattari.com/problem/folkland_island/folkland_island.html)や、
角さん・近藤さんらの編集された般若一族の作品集を一通り
見られてからこちらを読まれることをお勧めします(とはいえ、被っている箇所もかなりありますが…)。
他の説明に載っていない部分も勿論ありますし、逆に本稿で解説できない部分も多々あります。
自分の好きな作品を自分が理解することが第一目的という勝手なサイトですので、お許しください。

■83と型での攻防


初形から、【56飛、65玉、66飛、54玉、56飛、55銀合、同飛、同玉、56銀、54玉、65銀、53玉】


序が結構難しそうですがとりあえず割愛。ここから【56飛】とした局面で
・42玉と逃げると
【54桂、53玉、62桂成、42玉、54桂、53玉、63成桂】以下詰み。
この変化に備えて、桂馬を2枚持っていなければなりません。

・54角合は
【同銀、64玉、66飛、54玉(74玉は63飛成以下)、65角、64玉、43角成】以下。

よってここは54香と中合が出ます。この54香合を同銀と取ると【64玉、66飛、74玉】で逃れます
(ちなみに、66飛に54玉、56香、55銀合、同香、同玉とすると局面が還元するので
ここで逃れ手順を作る必要はないと思われるのですが)。

【54香、同飛、42玉、53飛成、同玉】


【55香、54角合】

角合に変えて54飛合は
【同銀、64玉、56桂、55玉(74玉は63銀生、85玉、86飛、95玉、96歩)、67桂、56玉、66飛、56玉、47金】まで(下線部修正。相馬さん、的確なご指摘ありがとうございます)。
この変化のために55香は限定(56だと飛合で詰まない)。


飛⇒香⇒角の持ち駒変換は見やすいところだと思いますが、果たしてなぜこれを行うのか…。
角を得た後に【71角】とこちらから王手をすれば、83と型から72と型に変化することができます。
また、42玉型で【15角】と王手すると【24飛合、同角、同香】として
22香を24香へ吊りあげることができます。この意味は序盤では分かりづらいですが、後ほど説明を行います。

また、次に説明するように、一旦72と型にすると玉方は54角合を出してこなくなります。
[22香→24香] の変換を行うには、71角よりも先に【15角、24飛合、同角、同香】の仕事を行う必要がありそうです。

これまでの手順をまとめると、

・序から

【56飛、65玉、66飛、54玉、56飛、55銀合、同飛、同玉、56銀、54玉、65銀、53玉】


【56飛、54香、同飛、42玉、53飛成、同玉】


【55香、54角、同香、42玉、15角、24飛合、同角、同香、53香成、同玉】


変換をもう一度繰り返します。
【56飛、54香、同飛、42玉、53飛成、同玉】


【55香、54角、同香、42玉、53香成、同玉】


72とへの変換を行います。ここでは香合いをした方が手数が長い。
【71角、62香合、同角成、同玉、72と、53玉】


■72と型での攻防
角を渡しては62に打たれて簡単に詰んでしまうので、55香には飛合、56飛には香合で対抗します。
【55香、54飛合、同香、42玉、53香成、同玉】


ここで千日手になってしまいそうですが、56飛、54香合に対して同銀、64玉、66飛という攻め方が可能になっています(83と型のときはここで74玉と逃げられて不詰)。
すなわち、
【56飛、54香、同銀、64玉、66飛、54玉】


※ここで74玉と逃げるのは63飛成以下、香を手持ちにしているので詰みます。

【56香、55銀合、同香、同玉】
72と型にするとはじめて56香、55銀合という手順を繰り返すことができるようになると分かります。


46金が入れば、あとは持ち駒変換を行って、こじ開けた45に桂馬を捨てて詰み。
83と型で、56香に対する54飛合の変化でこの47金が必要なので、角で局面を変化させた後に37金を捨てることが必要だったのです。
【46金、同歩、56銀、54玉、65銀、53玉】


※72と型で、55香に54飛合とされたときにこの攻め方が可能に見えますが、香一枚の差で詰まなくなっています。
すなわち、46金を捨てる前の局面で、55香に54飛合、同銀、64玉、65飛、74玉、63飛成、85玉は不詰。


あとは2つ上の図から収束です。
【56飛、54香、同飛、42玉、53飛成、同玉、55香、54飛合、同香、42玉、53香成、同玉、45桂、同香、54飛、42玉、43銀成、同玉、35桂、33玉、34香、42玉、44飛、53玉、43飛成】
まで93手詰。

手順中の34香に対して24玉と逃げられないように、24をあらかじめふさいでおく必要があったのです。

■まとめると
・46金捨てで45をこじ開けてから、桂捨てを行うことで収束に入ることができる
・46金を行うために55玉型を実現しなければいけない
・55玉型を得るのは序(9手目の局面)か、【56飛、54香合、同銀、64玉、66飛、54玉、56香、55銀合、同香、同玉】とした局面のみ
・上記の手順中、66飛に74玉の変化は[72と]型でないと詰まない
・[83と⇒72と]の変換は角が必要。【71角、62香合、同角、同玉、72と】として行う
・55香に対して飛合を行ったときは、【同銀、64玉、56桂、55玉、67桂】以下。この手順は47金がいないと不詰
・よって83と型では56飛に香合、55香に角合が登場する。
・一旦72と型に変換すると、玉方は角合を出してこない(62に打って早詰のため)
・72と型では、56飛に54香合、55香に54飛合が登場する。今まで同銀~56桂で詰んでいた局面が、と金の移動によって詰まなくなっている。
・収束に入るまでに[22香⇒24香]の変換を行う必要がある。この手順は【15角、24飛合、同角、同香】として実現可能(つまり持ち駒に角が必要)

これらの手順を総合すると、
(飛→香→角)⇒[22香→24香への変換]⇒(飛→香→角)⇒[72と型への変換]⇒(飛→香→飛)⇒[55玉型を得る]⇒[46金捨て]⇒(飛→香→飛)⇒[45桂捨て]⇒収束
という手順が一意的に定まることが分かります。

■筆者の感想
83と⇒72との部分と、37金⇒46金の部分。
それぞれのカギを独立に進めることが可能なのですが、
持駒変換と相まって、どこで、どのようにというところが非常にややこしい。

83と型で、66飛に74玉の局面を不詰にすることは、この作品を成り立たせるためには必須ではないように思えます。74玉ではなく54玉と逃げると千日手になるからです。
しかし、83と型でこの手順を追ってみた解答者は、83と型で不詰になる74玉の局面が、72と型にして詰むようになっているとは一寸考えにくいかもしれません。
83と⇒72との移動は、角合の際に62角を打てるようにするだけではなく、左辺に逃げたときに63龍の横利きを通すためのものでもあったのです。
この8・9筋の変化と紛れの切り分け方に相当苦労したのではないかと思われます。

この変化が利くことを利用して一旦玉を55まで呼び出し、46金捨てで45をこじ開けて収束に向かう。
最後になってはじめて、15角、24飛合、同角、同香の交換を入れた意味がわかります。

変化紛れがそこまで難しいわけではないのに、頭が混乱しました。シンプルな割り切り方で本当に見事です。
「46金が見えやすいので~」という般若一族の叛乱サイトでの解説通りですが、
83と型と72と型を比較したとき、不利感があるように思えて実は、74玉の変化では72と型の方が有利であることが分かります。
持ち駒変換のサイクル中で仕事を入れようとする作品は、持ち駒変換が正しく(玉方が選択の余地なく)行われなければなりません。
A⇒B⇒C の持ち駒変換ではBの瞬間に仕事Xが成立するのに、
A⇒C と(玉方の意思で)局面変化させられると、仕事のタイミングを失うからです。

赤羽守さんの名作(17手詰)が作品の発端だと書いてありましたが、
むしろ私には上田吉一氏作の「積分」の方が近いのではないか、と思います。

しかし、よくこんな仕組みをいとも簡単に作ったなあ、と感心させられます。
と金の位置変換によって、飛合と角合の詰・不詰がうまくスイッチする機構。
奇跡的に変化と紛れを両立させる8・9筋の配置。
54中合をいとも簡単に出す、攻方52歩・玉方41桂。拍手です。

※一つ追加。
合駒制限で歩が立つので51と28に歩を配置したと首さんのサイトには書いてありますね。しかし、同時に、歩をピッタリ18枚使いきったとも書いてあります。
もしかしたら、37金くらいは37とにすると一枚減るかもしれませんね。
自陣成駒なので、原図の方が良いかもしれませんが。
[2014/12/07 16:39] | 詰将棋鑑賞 | Trackbacks(0) | Comments(11)
詰将棋懐石メモ~h160seの倉庫~


※あまりにも陳腐な名称なので漢字を少しかえてみました。懐石料理のようにじっくりと詰将棋を味わう意味も込めて。

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shogisolving160

Author:shogisolving160
詰将棋の自作置き場、及び人の作品の覚書。人に見せるというよりも、自分の頭を整理する意味が強いので、その辺お許しください。あ、リンクフリーです。

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